音楽(Mordern Jazz)

N.Y.C.

ボストンからニューヨーク迄はノンストップバスで約4時間半だ。直行バスでニューヨークに入るとバスはハーレムの西端のアムステルダム・アヴェニュウ(Amsterdam Ave.)を真っ直ぐ、バスターミナルのあるポートオーソリティー(Port Authority)まで南下する。

ニューヨークへ出かける時は夜ボストンを出る事が多かった。バスを降り ポート・オソリティーの地下から42番街の地下鉄の駅までは地下道を歩く。真夜中の人気の無い地下道は不気味だった。42番街から地下鉄でワシントン広場まではすぐだ。

ニューヨークの地下鉄は24時間走っている。
1968年当時はこの地下鉄での殺人が多かった。車内には運転手、車掌以外に警官が必ず乗っていた。真夜中の駅は不気味で「トークン」と呼ばれるコイン型の乗車券を買って中に入ればもう誰もいない。
 たまに人がいるとアルコールで頭のいかれた様な男が、ホームの柱毎に掛かっているガムの自動販売機のボタンを押しながら行ったりきたりしている。行き来しながらハイエナの様な目つきでこちらを伺っている。

電車でラジオを聴いている奴、わいわい仲間と楽しくやっているグループ、駅とは対照的に賑やかだ。座席に凭れてうとうとしていると、突然肩をドンとこずかれた。ふと見上げると警官が怖い顔で「NO!」と叫んだ。後で知ったが車内で寝るホームレスが多く、彼らを追い出すのも警官の役目らしい。

ポートオーソリティのバスターミナルでは有料トイレで寝ている奴もいて、下から覗き、誰も入っていないことを確かめてから金を入れないと、入れた金が無駄になってしまう。余談だが、ニューヨークの地下鉄内の無料のトイレには扉がない。便座と便座の間に仕切り板があるだけだった。さすがに通路に向かっての用足しは出来なかった。

19歳の私には、一晩中動いている地下鉄は魅力的だ。第一、時間を気にしなくて良い。多少の危険を恐れなければ夜中に Jazz を聞きにだって行けるし、寝る事は出来なくても体を休めることは出来る。公園で眠るよりは安全だから…。

僕は一度ワシントン広場のベンチで寝ていてパトロールカーの警官に棍棒でつつき起こされた。このときは「ここで寝ると危険だから、昨夜もこの近くで一人殺された」と注意してくれたが、 一人は拳銃に手を掛け もう一人は棍棒を持って尋問してきた。

パスポートを持たずに歩き回っていた僕がどうやってその場を切り抜けたか記憶にはもう無いが。今考えるとちょっと恐ろしい…。とにかくニューヨークの警官は乱暴だった。

マンハッタン島は1から11までのアヴェニューと呼ばれる南北の通りとstreetと呼ばれる東西の道とで構成されている。
因みに1st Ave.から西へ2,3と並んでいる。ストリートは南からはじまる。

6thアヴェニュウだけは Ave. of The Americasと呼びます。
何故そう呼ぶのか分からないが、これは僕の全くの当てずっぽうですが、アメリカの玉突きのゲームにエイトボールと言うのがありますがあれは,1から15までのバールを半分に分けたら8が一つ残ります。1から7まで若しくは9から15までをポケットに入れた後に8をポケットに入れた方が勝ちというゲームですがこの発想で(少し無茶が強すぎる気もしますが)丁度真ん中の6を特別扱いにして(真ん中の意味で)ニックネームをつけたのではないでしょうか?
 ニュージャージー在住の方に調べて頂いたら、私の説は全く根拠が無いそうです。

ニューヨークは文化に関係する機関が非常に多い。学校、美術館、ホールETC.が狭い街にたくさんある。又公園の類も多いし、なんと言っても国連の本部がある。

ニューヨーク市の最大の公園、セントラル公園(Central Park)はマンハッタンのかなりのスペースを占領している。京都御所のような物。こちらの方はしかしもうちょっと楽しめそうだ。

この公園の北側にハーレム(Harlem)、東側の公園を背にして(公園内?)メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)、グッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum)、モダンアート美術館(Museum of Modern Art)カーネギーホール(Carnegie Hall)、ロックフェラーセンター(Rockefeller Center) と見るところはたくさんある。

ブロードウエー(Broad way)、タイムズスクエアー(Times Squere)、エンパイアステートビルディング(Empire State Bldg.)と日本でも有名な観光名所が目白押しだ。

ティファニー、等有名な商店の並ぶ 5th AveneはN.Y.Cの繁華街の中心だ。

観光的に有名な所は一度は訪れたが、僕の当時の興味の対象はワシントン広場(Washignton Sq.)を中心とするロアーマンハッタン(Lower Manhattan)。ジャズありロックありエキサイティングな夜の街だった。

ワシントン広場の周りには(グリニッジヴィレッジ),少し南にはソーホという特殊な街があった。芸術家の好んで住んだ地域だ。

Wash. Sq.を中心に西側をWest Village,東側をEast Villageと呼ぶ西側は観光地化されている。

East Villageにはその当時流行っていたアフリカンルックの衣装を売る店や
その他面白い物が一杯有った。Modern Artの巨匠アンディーウオホールの仕事場である "Factory" もここにあった。
その他、ジャズの Village Gate などもが点在していた。

ビレッジを東へ進むとセカンドアベニュウニ出る。ヴィレッジもここでお終い。ここから先は黒人達の住むのスラム街だ。
この辺りでは極東、最も遠い世界の果ての意味も交えてFAR EASTと呼ぶ。

Far East と呼ばれるスラム街は Second Avenue から東へ、East 14 St. から南、East Houston St.の間にだけにある通りでAからD の4本のAvenueの名前が付いている。スラムはからThird Ave.、白人のスラム、チャイナタウンへと続く。